こわいいぬ

夕暮れの河川敷、風に揺れる草むらの中で、小さな子猫が震えていました。そこに、通りかかった大きな白い山犬の影が落ちます。山犬は鋭い目つきで子猫を見つめ、子猫は恐怖に身を縮めます。

山犬は子猫をそっと口にくわえ、優しく運び始めます。子猫は最初は戸惑いながらも、山犬の口の温かさに安心したのか、身を任せます。

二人の向かう先は、古びたバス停のベンチ。そこが山犬のねぐらでした。バス停のベンチにたどり着いた山犬は、子猫をそっと下ろします。

そして、自分の大きな体を子猫に寄せて、温かい体温を分け与えるように丸くなります。子猫は山犬のふかふかの毛の中に埋もれ、安心しきった表情で目を閉じました。

目を覚ました子猫は、山犬の毛並みに顔をうずめ、ゴロゴロと喉を鳴らしました。山犬もまた、子猫の小さな体を慈しむように見つめています。かつての恐怖は消え去り、二人の間には温かい信頼が生まれていました。

そしてまた二人は寄り添って、沈みゆく夕日を静かに眺めるのでした。

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